5月24日

1限目:自然農について(講義)


川口由一さんの方法

 

・耕さない、持ち込まない、持ち出さない
 草や虫を敵としない、土を裸にしない
 機械や化石燃料に頼らない
 (定年後の就農で機械に金をかけても失敗することがある)
 (草刈りは大鎌で)


・なぜ耕さないか
 耕すと土が硬くなるという逆説!
 土の中にはミミズやたくさんの生きものが入っている。
 耕さない森は軟らかな土がある。

草の根が枯れた後の空洞は通気を助ける。
 毎年の枯れ草が腐植の層を作る。菌類がそれを分解する。
 耕すと空気により分解が加速され、養分が一気に放出されるが、生態系が壊れる。
 放線菌は耕さない方が活発。耕した土とは臭いが違う。

・自然農の生態系
 それぞれの植物には仲良しの菌がいる。外根菌と内根菌(根粒菌など)
 「畑」はモノカルチャー(単一作物栽培)ナスならナスだけ。ナスと仲良しの菌だけ。不健康。
 モノカルチャーだと虫が寄ってくる。
 虫には3種類、「益虫・害虫・ただの虫」(人間の価値観による区別)
 モノカルチャーだと害虫だけになりがち。だから混植する。

・養分と肥料の問題
 森は毎年、土が豊かになる。これを畑に再現する。それには自然の邪魔をしないこと。
 モノカルチャーでは、光合成するのは作物だけ。(日影は禁物、全ての日光は作物に!)
 自然農では、草が次の年の養分になる。
 草は永続的に得られるが、動物糞の投入は大量生産システムへの依存。
 慣行農法の「立派な作物」は、じつは肥満体とおなじ。
 自然農の作物は小さくても充実している。
 もし土が養分不足なら、米ぬかなどを表面に撒く。鋤き込まない。
 (未熟なものを土に入れない)
 草を抜かない。(土の構造を壊さない)
 
 →土が雨で流されない。保水能力を維持する。

・種の蒔き方
 種籾の塩水選は自然農では行わないことが多い。
 混植する。
 連作障害は気にしなくて良い。
 モノカルチャーは「廃棄物でいっぱい」状態。
 自然には連作障害はない。

・事例
 庄ちゃん:混植でやっているけれど、問題ない。
 慣行農法で「耕すため」には、混植は収穫タイミングが合わないので不合理だった。
 ニンジンの連作で良い物ができるようになる。
 作物がその土地にあった性質に変化する。(当然、種取りをする。F1(一代雑種)の種子ではだめ)

(参考)
農薬に頼らない家庭菜園 コンパニオンプランツ [単行本]木嶋 利男 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4259561413/
野菜の品質・収量アップ 連作のすすめ [単行本]木嶋 利男 (監修)
http://www.amazon.co.jp/dp/4259518488/

川口さんの自然農を確立するまでの道のりと哲学が、対談で語られています。
こころの時代 川口由一 2004 自然農法実践家 「自然に沿って生きる」
https://www.youtube.com/watch?v=8d2XogJg_OE
(1時間の映像ですが、ここに日本語字幕を一覧できます)

http://www.amara.org/ja/videos/y9sdIf2FACtZ/ja/241012/

川口由一 永続可能な社会のための、自然農という生き方。
http://www.ricepaper88.com/backnumber/vol09/kawaguchi/


2限目:畑で実習
 前回で形ができたパーマカルチャーのガーデンに、追加の苗を植え、種を蒔きました。
 苗を植えるときには、ポット苗と同じ深さ、少し大きい直径の穴を掘り、水をたっぷり注いで吸い込ませてから、苗を置いて周囲をしっかりと押し固めます。


3限目:ドキュメンタリー「エンデの遺言」
https://www.youtube.com/watch?v=3YeagjqoDpk&list=PLC08D3F569A6A580F
 
 現代の様々な問題の根本にはお金の問題が潜んでいる。
 お金はいくつもの異なった機能を与えられ、それが互いに矛盾して問題を起こしている。ものや労働をやりとりする交換手段、財産・資本(貯め込まれ流通しないお金)、資本・投機の手段(お金そのものが商品)。いくらでも印刷でき、コンピュータ上の数字、実体のないまま世界を駆け巡り、生活や生産の場を混乱させる。

 お金を作り、増やすやり方は錬金術に似ている。お金には倫理的問題が存在する。
 環境を損ねない建築がコストの壁にいつもぶつかる。利子は未来へ問題を先送りする。2世代後に経済的破滅か地球環境の崩壊が避けられない。

 古い街の中心には聖堂や神殿があったが、今日では銀行ビルがそびえ立つ。お金が聖なるもののように崇拝され、祈りの対象になっている。しかしお金は自然界に存在せず、純粋に人が作ったもの。歴史をふり返ることが重要。

 シルビオ・ゲゼル(ドイツに生まれアルゼンチンに移住)は、貨幣と社会秩序の間には相関があると考え、第一次大戦頃に「老化して消えるお金」の思想を提唱し、大恐慌下オーストリアのヴェルグルの自由通貨「労働証明書」(月1%のスタンプを貼らないと有効にならない)に繋がった。アメリカでは3千以上の緊急通貨が生まれた。地域内に富を留めておく。ニューディール政策が公共投資で雇用を作り出すと、緊急通貨は消えていった。

 エンデの「モモ」の中で「逆に歩け」は、この問題を示唆している。
 アメリカ、ニューヨーク州の「イサカ・アワー」は1991年に始まった地域通貨。新規発行は、メンバーの加入、ローンの貸し出し、NPOへの寄付によってしか認めない。イサカ周辺の小規模農家は、代金前払いの「サポート・システム」で支えられていて、イサカ・アワーも受け入れる。小規模農家を支えることは環境保全に繋がる。

 カール・マルクスが提案したのは、民間資本家を追放して「唯一の資本家」である国家を打ち立てること(国家資本主義)で、資本主義の制度に手を加えなかった。経済批判を可能にする概念を打ち立てたことは功績。

 旧東ドイツ、ハレでの「交換リング」は、通帳でデーマークという通貨をやりとりする。利子はなく、全体の合計は±ゼロ。マイナスのデーマークを持つことは、共同体の一員であることの証。

 スイス、バーゼルのヴィア銀行。1934年に地域通貨ヴィアを始め、スイス全土の17%の企業が参加。カードによる電子決済でスイスフランと併存する。

 自由市場至上主義の「競争セクター」に対抗する「共生セクター」を実りあるものにするため、通貨を考え直すことが必要。問題の中心は金融システム。世界金融経済システムは競争を強いる。協力関係のためには別の道具が必要。地域通貨は一つの新しい道具。

 成長は無からは生まれない。必ずどこかの犠牲の上に成り立つ。
 

◇ビデオ視聴後の討議
「地域通貨をやっている人がこんなにもいる」
「先駆者たちの存在と努力があったからこそ可能だった」
「イサカアワーが羨ましい」

浜松ウナの事例紹介「お金ではない、自分が提供できるものの可能性を広げる」
「通帳がマイナスでもギフトを頂いた良いこと、というのは面白い」

交換リングでは、プラスは貢献、マイナスは受け手・サポートとしての意味を持つ。
LETS (Local exchange trading system)は地域内の交換を促進する。
地域振興券(1999年4月1日から9月30日まで日本国内で流通した商品券)は、再使用できなかったので通貨として機能しなかった。

(参考)
「エンデの遺言」の制作者の中に鎌仲ひとみさんがいる。
鎌仲ひとみ監督最新作「小さき声のカノン-選択する人々」
https://motion-gallery.net/projects/littlevoicecanon

続エンデの遺言(坂本龍一出演)
https://www.youtube.com/watch?v=KUTBeTZ1ZcY
 
 

 

■2日目 2014年5月25日(日)
レポーター:kana
 
6:00 坐禅
本堂にて、30分ほど座禅をした後、

和尚さんのリードに合わせてお経を唱えます。
常にあわただしく過ごしてる日常から離れる貴重な時間です。

7:00 ワーキングメディテーション
スタッフミカちゃんの提案で、今月から始まりました。
ワーキングメディテーションとは、簡単に言えば、おしゃべりしないでお掃除する、ということ。

長野県のすべての小学校でこれを実践していて、これをすることにより子供たちが落ち着くそう。すごいね。

昨日の夜くじびきで決めていた場所にみんな無言で場所移動。15分間、もくもくとお掃除しました。
 
お掃除終わったら。。。あっちゃん特製のグリーンスムージー!
きれいな緑色で、味ももちろん、超おいしかったよー!うれしいね。

7:30 【建築実習】
さて、待ちに待った建築実習。
今日は、温室ドームの基礎づくり。
昨日の話し合いで既に決めてある3つのグループに分かれて作業します。
 
Aチーム:杭を作る。
45角の角材を約50cmにカットして、スライドカッターで先をトッキントッキンに尖らせる!
注)トッキントッキンとは、名古屋弁で先の尖っている様子を表す言葉。今日一番流行った言葉です(笑)
 
Bチーム:鉄筋を切る。
鉄筋を鉄筋カッターで約40cmにカットする。
 
Cチーム:線を引く。
建物の位置を決めて、直径8mの円の線を引く
 
だいたい終わったところで、全員での共同作業。
さっき引いた線に沿ってつるはしで地面を掘っていく。
その内側にトッキントッキン杭を地面に打ち付けて、レーザーで水平をとってしるしをつける。

4mの貫(15×70)をしならせてビスで杭に固定する。(終わったら外側もやる。)
みんなで協力して、丸いサークルがだんだん出来てきた!
みんなのチームワーク、すごい!!

10:00 ブランチ
あっちゃんのローフードブランチ。彩り豊かでとてもおいしく頂きました。
建築実習で疲れたのか、隣のタップスペースで繰り広げられているタップダンスの練習を見ながら、聴きながら、もくもく食す。食べる瞑想でした。

11:30 【講義】システムデザイン 講義 ワーク 発表

徳林寺のシステムデザインについて、「エネルギー」「水」「有機物」について、グループに分かれて調査してまとめて発表。
 
「水」チーム:さきちゃん、潤三
 
【現在のシステム】
上水は水道。トーマス農園は雨水。下水は浸透槽を和尚さんが5年前に作った。(下水道はなく、以前はドブに流れていて匂いが臭かった。浸透槽を作ったら匂いが全く出なくなった。)トイレの汚水は浄化槽に3年に一回たまったのものを掃除して、出したものは畑の前に穴を掘って埋めている。
【将来の希望・予定】
現在は雨水タンクが一つあるが、将来的には雨水タンクを農園、シャンティクティ、本堂の前、鐘楼の上に設置して全部パイプで連結して徳林寺の生活用水として使っていきたい。
 
「有機物」チーム:ともみん、たまりちゃん、さなえちゃん

【現在のシステム】
森の落ち葉、枯れ草→畑の堆肥。
檀家さんからの食べ物のおすそ分け→食べる→トイレ→コンポスト。
道を遮っている木を切る→資材、薪、コンポスト、畑。
食糧は利用者さんからのギフト(お金)でスーパーで買っているが、ハーブやスパイスは畑でとれたもの。

【将来の希望・予定】
今建設中のみんなの家のトイレはバイオトイレにしたい。
建設中のみんなの家の周りは畑にする予定。しいたけ栽培、(建設中の)温室で苗栽培をする予定。将来的には野菜を畑でまかなえるようにしたい。
肥料になるコンポストトイレをつくりたい。
 
「エネルギー」チーム:酒井さん、淳ちゃん、かな
【現在のシステム】
電気は中部電力から。車はガソリン。調理はLPガス。
お風呂は薪。暖房も薪(たまに灯油ストーブ、日光も)
薪は主に建築廃材、剪定屑。灰は山に戻す。

【将来の希望・予定】
みんなの家とハスタクティに取りつけたソーラーパネルで電力を自給して、余った電力を中部電力に売電する予定。熱を電気以外でまかなうのが理想。
太陽光によって原発、非再生エネルギーに頼らないのが当面の目標。
 
将来的にはバッテリーによる蓄電システムを利用して、循環させることができればいいのでは?

直接的に太陽熱を耐熱物質でためるのはどうか?
お湯は太陽熱温水器を利用するのが良いのでは?
建築で使う電動工具の電気も太陽光でまかなえれがよいのでは?
ガソリンも将来的には天ぷら排油を使うのはどうか?
などなど、いろんな意見が出ました!
 
徳林寺のケーススタディをすることによって、自分の身の周りのシステムデザインを見直す良いきっかけになりました。そこで、来週までの宿題は「我が家のシステムデザイン」。
普段暮らしの中のつながりを見直し、自分が出したものがどこに行っているのか、自分の使っているものがどこから来てるのかを考えます。

15:15 ふりかえりとまとめ(今日のおやつ。大根もちののりまき!)

16:00 終了・解散
 
残れる人達だけで残って、建築実習作業の続き。
ようやく型枠完成!
不思議なサークルができあがりました!
一か月後、コンクリ基礎を流すまで残ってるか、ちょっと心配だけど(笑)
今日も充実!ありがとうございました!また来月会いましょう~!